話し手:越智 崇実史氏(税理士法人grow up)
聞き手:飯塚 隼光氏(京都大学)
京都大学上級経営会計専門家プログラム第6期生であり、本協会の会員でもある税理士法人Grow Up 越智先生に事務所における取り組みについて伺ってきました。
まず,事務所の強みについて教えてください。HP上では100年企業といった点を前面に出されていますが,どういう想いがあるんでしょうか。
もちろん,キャチコピーとして魅力的だったから,というのももちろんあります。
が,それだけではなくて,会社を長く続けて行けるようなサポートがしたいという想いがあります。税務会計は会計事務所としては当たり前のことです。それに+αして,お客さんが社会的に求められるような会社になれるようなサービスを提供したいと考えています。
「社会的に求められる」という点についてどのように捉えられていますか。
そんなに難しくは捉えていないですね(笑)。例えば税理士業でも,滋賀県に200程度会計事務所はあるんだと思います。うちが良いサービスを提供できれば,他社も「負けていられないぞ!」という想いになるでしょうから,業界全体の底上げになると思っています。なので,さぼらずにやればいいという事かなとも思っています。
実際にGrow Upのクライアントの内訳として,長寿企業が多いのでしょうか。
私自身,開業10年目です。開業して1年目の時には会社設立を入り口として集客を行いました。その当時から契約してくれているお客さんの中には少しずつ規模が大きくなってきている企業もあります。
そもそもの開業のきっかけは何だったのでしょうか。
勤めるのに向いていないタイプだったというのもあります(笑)。元々,自分で何かを作るのが好きだったんだと思います。この経営指針書も作っているんです。
なるほど。新しく作る事とか,作り込んでいくのが好きなんですね。企業支援をお願いするにあたって、起業したことのある人から話を聞けるのは顧客からすると安心感があると思います。それにしても凄い分厚さですが,何がきっかけで作り始めたんですか。
大阪の税理士の先生の手帳セミナーだったか,確かそんなものを聞いて「おもしろいな」と思ったのがキッカケです。それまでセミナーとかに積極的に出てこなかったのですが,聞いたらおもしろかったんです。そこで聞いた内容に,いろんな本で書かれている内容を足していって今の形になりました。
どのように使われているんでしょうか。
顧客に対して,こういうのあるといいですよね。何度も同じことを言わないで済みますよねと言ったして,もし指針書が作りたいという要望があればそのサポートをしています。
ただ,これだけではなくて,会計事務所を経営する上でもキモだと思っているんです。というのもうちでは4か月に1回程度,従業員と面接を行います。ここで,話す内容が指針書の振り返りなんです。どの項目ができていて,どの項目ができていないのか。こうやって目標を示すのは重要だと思っています。
→経営会計専門家の役割についての研究インタビュー(内容については事例として作成させて頂く予定です。)
上級経営会計専門家プログラム受講の感想
弊社では一般的な会社や事業者向けの税務会計サポートを中心に顧客数を増やしてきましたが、より未来志向のサービスを提供する重要性を感じマネジメントアドバイザリーサービス(MAS)の普及に注力しています。
中期経営計画で実現したい会社の状況を表現し、そこから逆算して単年度計画、そして月次の予実管理、それに連動した行動計画のPDCAサイクルを回すこのMASのサポートはクライアント企業をより良くするために必須であると感じたからです。
このプログラムでは座学によりコンサルティングやコーチングの理論を学び、それを活かしたグループでのコンサルティング実習が受けられるという点でまず魅力を感じました。今まで1人手探りでクライアントをサポートしてきましたが、このプログラムを受講させていただく事で提供するサポート内容にも厚みを持たせることが出来るのではないかと考えました
講義については実践的な内容のものと研究発表的なものが混在したカリキュラムになっておりましたが、やはり実務家の私としては実践的なものに対して興味が惹かれました。
アメーバの配賦や様々なマーケティング手法、KPI、コーチングなどが取り入れやすくて受講後結構すぐに自社でも活かさせてもらいました。
必要だろうなと感じていても緊急性と関心が高いものに時間を割いてしまい、中々手を付けられていませんでしたが、本プログラムではその後回しにしていたものを課題や必読図書などで予習した上短時間で学ばせていただけました。普段使わない頭に負担をかけつつ効率よく学習させていただけたので非常に充実した半年間となりました。
しかし、なんといってもコンサルティング提案をグループで作り上げるというのがこのプログラムの最もスペシャルなところでした。なぜ教授や税理士の皆さんがあれだけ熱のこもった名演が出来たのか。プログラムの本質ではないものの皆さんの人間力の高さに脱帽いたしました。芯を食った質問をする難しさを感じていたところに、第一線で活躍されてきたNRIの太田先生がされた質問はさすがに見事だなと唸りました。
それに集まった同期の先生方もやはり一角の人物ばかりでしたので、皆さん流石だなと思わされる事が何度もありました。
そんな同期メンバーとグループで1つの提案書を作りあげるという経験。税理士をしていると基本1人で完結するような業務が多く、皆が集まって1つのものを作る面白さを本当に感じさせていただく事ができました。
皆それぞれこんなに異なった視点から考えるんだなとか、この人はこういった事が得意なんだなとかの気付き。とにかく楽しい時間で、この楽しくも大変なグループワークを通じて様々なエリアで活躍されている仲間と本当に親しくなれるのも私の受講させていただいた成果であったとハッキリと言えます。
これからの受講される方へは、あなたは素晴らしい選択をされましたねと自信を持って断言できます。私はこのプログラムに参加させていただけた機会に心から感謝しています。